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同一同労同一賃金の問題

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2021.02.10

今までは同一労働同一賃金の基礎や判例に関して記載してきました。
企業にとっては、既存の人事制度・給与制度を根本から見直す大きな変化が求められております。
反面、格差是正を図る同制度は、本当に機能するのかなど、問題点を指摘する声もあります。
今回は、そんな同一労働同一賃金の課題や問題点を記載したいと思います。

 

同一労働同一賃金の問題点

まず、企業にとって最大の問題点は、賃金上昇の可能性があるということです。

正社員の賃金を非正規雇用社員の賃金に合わせて下げることは考えにくいと思います。

厚生労働省による同一労働同一賃金のガイドラインにも、「正社員と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差を解消するに当たり、基本的に、労使の合意なく正社員の待遇を引き下げることは望ましい対応とはいえない」という内容が記載されています。

つまり、非正規雇用労働者の給与を上げるしかありません。
果たして、それだけの資金を企業が準備できるのかという点が指摘されています。

 

次に、同一労働同一賃金が施行されると、従来のように容易に契約社員やパートタイムを採用することが困難になってきます。

今までは、非正規雇用労働者を雇う際、必要とする業務の内容や事業所の所在エリアの相場を参考に時給の水準を定め、多くの場合ボーナスなしで求人を募集していた企業もすくなくありません。

しかし同一労働同一賃金の施行後は、契約社員やパートタイムの時給は、同じ事業所で働く正社員の給与と整合性のある金額でなくてはならず、ボーナスの支給がない場合もその正当性についても問われることになります。

 

そのため、資金やリソースを十分に持ち合わせている企業は、同一労働同一賃金の対応が可能だが、そうではない場合対応できない企業が出てくるのではないかという指摘があります。

このような場合、好待遇で環境の整った企業に人材が集中してしまう可能性があり、その結果、企業間格差が表面化してくる可能性もあります。

 

企業は、非正規雇用労働者から正社員との待遇格差の整合性の説明を求められた場合、説明義務があります。

非正規雇用労働者が、企業の説明に納得しなかった場合、法的な紛争に発展する可能性もあります。

政府もこの問題点を認識しており、非正規雇用労働者の金銭的負担が大きくなる裁判を経ずに紛争を解決できる裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備を行っています。

 

そのような問題点も理解した上で、企業は対策を練る必要があります。

人事担当者は、契約社員、パートタイム、派遣社員の雇用実態を早急に確認し、現状の非正規雇用労働者の待遇を整理しておく必要があり、実態を踏まえて、正社員と非正規雇用労働者の待遇差は不合理でないことを説明できるようにしておかなければなりません。

また、不合理な待遇があった場合は、是正していかなければならない上、賃金の資源の試算や、今後の非正規雇用労働者の採用計画も考えておく必要もあるでしょう。

 

今後とも宜しくお願いいたします。

株式会社Dots