新卒社員が3年以内に辞めるのはなぜ?離職率データと定着戦略を徹底解説
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2026.01.14

最近の若者はすぐ辞める?という“思い込み”に根拠はあるのか
「最近の若者はすぐに辞める」――そう嘆く声を、経営者や上司からよく聞きます。
「我慢が足りない」「打たれ弱い」「育ててもすぐ辞める」。
こうした印象が広がる背景には、確かに新卒入社から3年以内での離職が一定数存在するという現実があります。
ですが、果たしてそれは「最近の若者が変わったから」なのでしょうか?
あるいは、企業側の側面や時代の構造の変化が原因なのでしょうか?
本記事では、厚生労働省の統計データと企業事例をもとに、
を、実例とともに詳しく解説します。
“辞める若者”を責める前に、なぜ辞めるのか、なぜ定着できないのかを一緒に考えてみませんか?

3年以内離職率の最新データと過去推移
まず、「若手社員はすぐ辞めるようになったのか?」という問いに、客観的な数字で答えてみましょう。
厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」によると、大卒社員の3年以内離職率は34.9%でした。
つまり、およそ3人に1人が3年以内に退職していることになります。
この数字だけを見ると、「やっぱり最近の若者はすぐ辞めている」と思うかもしれません。
しかし、過去のデータを見てみるとその印象は変わります。
このように、過去20年以上にわたって3年以内離職率はほぼ横ばいなのです。
つまり、「最近の若手が特別に辞めやすくなった」という事実は、統計上存在しないのです。
このことから、「最近の若者は我慢が足りない」という主張には明確な根拠がないといえるでしょう。
実際には、若手が辞める理由やタイミングが変化しているだけで、辞める割合そのものは大きくは変わっていないのです。
この“タイミングの変化”こそ、次に注目すべきポイントです。
増加する2年目離職の現実
3年以内の離職率が長年横ばいである一方、近年になって注目されているのが、「辞める時期」の変化です。
とくに、入社2年目での離職が増加していることが、多くの企業で共通の課題となっています。
かつては1年目に辞める人が多いとされてきましたが、最近の統計では、1年目と2年目の離職率がほぼ同水準にまで接近しています。
これは、「1年目を乗り越えれば定着する」という従来の考え方が通用しないことを意味しています。
その背景にあるのは、2年目における支援体制の“空白”です。
1年目には研修やメンター制度など、比較的手厚いサポートが提供されますが、2年目に入ると一転して、任せっぱなし・成果重視の文化に変わる企業が少なくありません。
結果として、2年目の社員は「いきなり突き放された」と感じ、孤独やプレッシャーにさらされることになります。
このギャップが、2年目離職のトリガーとなっているのです。
企業にとっては、この2年目こそが「フォローが必要な期間」であり、“支援の空白”をいかに埋めるかが鍵となります。
若手社員が辞める主な理由5つ
若手社員の離職は、決して一つの理由だけで起こるものではありません。
多くの場合、複数の要因が重なり合った結果として、「辞める」という選択に至ります。
ここでは、代表的な5つの理由を整理します。
1. 期待と現実のギャップ(リアリティ・ショック)
就職活動中に描いていた「やりがいのある仕事」「成長できる環境」と、実際の業務内容や職場の雰囲気との間にギャップがあると、若手は強い違和感を覚えます。
特に配属先の仕事内容や上司との相性は、モチベーションに大きく影響します。
このリアリティ・ショックは、1年目から2年目にかけて顕在化しやすく、離職の大きな引き金となります。
2. 「キャリアの主導権は自分にある」という価値観の変化
かつて主流だった「石の上にも三年」という考え方は、今の若手世代には必ずしも当てはまりません。
彼らは、キャリアは会社に委ねるものではなく、自分で選び取るものだと考えています。
そのため、「ここでは成長できない」「合わない」と感じた場合、無理に我慢するよりも、次の環境に移ることを合理的な選択として捉えます。
3. キャリアの見通しが描けない不安
「この会社で数年後、自分はどうなっているのか」
この問いに答えが見えない職場では、若手は将来への不安を強めます。
日々の業務に追われるだけで、成長実感や評価のフィードバックが得られない状態が続くと、
「ここにいても意味がない」と感じ、離職を考えるようになります。
4. フィードバック不足と心理的孤立
若手社員が辞める理由として見逃せないのが、「相談できない環境」です。
上司が忙しく声をかけづらい、失敗を指摘されるばかりで良い点を評価されない――こうした状況が続くと、若手は孤立感を深めます。
メンタル面の不調や人間関係のミスマッチは、離職を“自己防衛の手段”に変えてしまうのです。
5. 働き方・職場文化とのミスマッチ
Z世代を中心とした若手社員は、成果だけでなく、「どんな環境で、どんな人と働くか」を重視します。
過度な上下関係や長時間労働、対話のない職場文化は、価値観の不一致を生みやすく、早期離職につながります。
これらの理由から分かるのは、若手社員の離職は「甘え」や「根性不足」ではなく、
環境・構造・コミュニケーションの問題が積み重なった結果であるということです。
若手社員の価値観はどう変わったのか
若手社員の離職を正しく理解するには、まず彼らの価値観の変化を捉える必要があります。
特にZ世代と呼ばれる層(1990年代後半〜2010年代前半生まれ)は、従来の働き方に対して明確な違和感を持っているケースが多いのです。
たとえば、安定性や企業規模よりも、
といった、内面的・文化的な要素を重視する傾向があります。
また、情報感度が高く、SNSや口コミサイトで他社と比較する力もあります。
そのため、「もっと自分に合う環境があるのでは?」という意識が生まれやすくなっています。
彼らにとって、“長く働く”こと自体が目的ではないのです。
「どこで、どのように、誰と働くか」という視点でキャリアを選び直すのは、極めて自然な行動と言えるでしょう。
この価値観の違いを理解せず、従来通りの組織運営を続けていれば、若手の離職は今後も続いてしまいます。
離職を防ぐ企業の施策と考え方
若手社員の早期離職を防ぐには、「制度だけ整えればよい」という発想では不十分です。
必要なのは、「辞めないこと」を前提にするのではなく、「辞めるかもしれないこと」を前提に、信頼関係を築く発想です。
とくに、近年課題となっている「2年目離職」への対応は急務です。
1年目に実施する新人研修やメンター制度は多くの企業が導入していますが、2年目以降になると急にサポートが手薄になるケースが少なくありません。
この“育成の空白期間”を埋めるために、効果的とされる施策は以下のようなものです。
① 2年目向け研修・フォロー体制の設計
入社2年目の不安や責任の増大に対応するため、段階的な成長支援研修を設ける企業が増えています。
また、年齢や経験の近い先輩が相談役となる「フォローアップメンター制度」も、心理的な安心感を高める施策として有効です。
② キャリアの“見える化”
将来像が描けない若手に対しては、「この会社で自分はどうなれるのか」を示すことが大切です。
キャリアマップ、職種転換制度、スキルアップ支援の設計によって、“未来の自分”をイメージできる環境を整える必要があります。
③ 定期的な1on1とフィードバックの習慣化
月1回以上の1on1面談を実施し、上司と若手が対話する時間を確保する企業も増えています。
この中で「困っていること」「評価している点」「今後の期待」などを明確に伝えることで、成長実感と信頼感の両方を育てることができます。
④ 辞められる前提での関係性づくり
ある企業では、「いつか辞めることも前提に、今を大切にする」という姿勢をあえて明示しています。
その結果、若手社員との間に「誠実な対話」が生まれ、むしろ離職率が低下したという事例もあります。
離職はゼロにできません。
しかし、「辞める理由を減らす」「辞めたくなくなる職場にする」ことは、今日からでも実践できる“定着戦略”です。
離職を改善した企業の成功事例
実際に若手社員の離職を大きく減らすことに成功した企業もあります。
たとえば、ある中堅IT企業では、入社後のキャリア対話を定期化し、2年目以降の育成計画を明確にしたところ、3年以内の離職率を40%→20%に半減させました。
この企業では以下の取り組みを導入しています:
また、別の製造業では、「キャリアの柔軟性」を強化。
たとえば、入社2年目での職種変更や異動希望を通りやすくしたことで、社員の自己選択感が高まり、定着率が10%以上改善しました。
共通するのは、「制度」ではなく「対話と透明性」を重視していること。
こうした企業の取り組みは、今後のスタンダードになる可能性を秘めています。
若手離職=悪ではないという視点
離職というと、多くの企業では未だに「失敗」「根性がない」「裏切り」といった否定的な見方をされがちです。
しかし、若手が辞める背景には、その人に合わない職場・文化・役割があったという現実があります。
特に今の若手は、「仕事=人生そのもの」と捉える世代ではありません。
自分の成長や幸福に繋がらないと判断すれば、別の環境を選ぶことはごく自然な行動です。
そしてその選択は、企業にとっても新たな気づきになります。
「どうすれば、この人が残っていたか?」と振り返ることで、組織そのもののアップデートに繋がるからです。
離職を「損失」としてだけ見るのではなく、価値観の変化に対応するヒントとして受け止めることが、これからの組織には求められます。
まとめ:企業と若手、双方が変わるとき
「若手がすぐ辞める」という声の裏にあるのは、データに基づかない思い込みや、時代の変化に追いつけていない組織の構造かもしれません。
本記事で見てきたように、
という現実があります。
企業が取るべきは、「我慢しろ」と求めるのではなく、「安心して働ける環境をどうつくるか」を自らに問うことです。
そして若手社員も、自らの価値観や希望を正直に見つめ、対話を通じてよりよい選択をすることが求められます。
離職を“問題”として嘆くのではなく、変化への適応力を高めるチャンスとして受け止められるかどうか。
それが、企業の持続的な成長と、若手の活躍を実現する第一歩となります。
なお、当社では企業向けに、オンボーディング施策の設計や評価制度の見直し支援も行っています。
「辞めさせない組織づくり」に課題を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

よくある質問(FAQ)
若手社員の早期離職に関する、現場からの疑問にお答えします。
若手の3年以内離職率は本当に高いのですか?
→ 実は20年以上、約3人に1人(約35%)の割合で推移しており、大きな変化はありません。特別に“最近の若者だけ”が辞めているわけではないのです。
なぜ2年目での離職が増えているのですか?
→ 1年目は研修やメンター制度で手厚く支援される一方、2年目に入ると急に“自立”が求められ、サポートが途切れるケースが多いためです。
「3年は我慢するべき」とよく聞きますが、本当ですか?
→ 我慢すれば良いという時代ではありません。自分に合わない環境で無理に働くことは、企業側・本人側どちらにとってもマイナスになり得ます。
大企業でも若手が辞めるのはなぜ?
→ 給与やブランドだけでは定着しません。若手は「誰と働くか」「どんな価値観の職場か」を重視しており、文化的な相性が定着のカギです。
離職率を改善した企業にはどんな共通点がありますか?
→ キャリアの見える化、定期的な対話、2年目以降のフォローなど、“辞めない前提ではなく辞める前提”で信頼関係を築く姿勢が共通しています。
離職は悪いことですか?
→ 一概に悪ではありません。ミスマッチを早期に見極め、新たな場所で再出発することは、本人にとっても企業にとっても前向きな選択になり得ます。
出典・参考資料
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