HRTechで注目の採用施策|求職者リファレンスとは?活用のポイントと導入事例
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2025.08.07

公開日:2023年08月30日
更新日:2025年08月07日

「求職者リファレンス」や「採用フィルター」という言葉を耳にしたことはありますか?
アメリカではすでに一般的な採用施策の一つであり、採用ミスマッチや早期離職を防ぐ手段として、多くの企業に活用されています。
近年では、日本でも中小企業を中心に導入が進みつつあり、HRTech(人材×テクノロジー)の注目分野として急成長しています。
履歴書や職務経歴書、そして限られた面接だけでは把握しきれない「候補者の本質」。
それを第三者の視点から客観的に可視化できるのが、求職者リファレンスです。
本記事では、そんな求職者リファレンスの仕組み、導入メリット、注意点、導入事例までを、HRTechの観点からわかりやすく解説していきます。
急速に拡大しているHRTech市場
ここ数年間の採用関連の市場規模(人材サービス市場規模)は、数パーセント程度の微増微減を繰り返している状況なのに対し、HRTechに関する市場規模は、毎年20~30パーセント程度の拡大と、急成長しています。
IT革命や情報化社会といった時代の大きな変化に加え、日本社会は特に人手不足における人的資本経営の浸透などが理由の1つです。
また、最近はエンパワーメントやリスキリングなどの人材関連の考え方に関する書籍を本屋のビジネス書籍棚でよく見ることからも、多くの企業が「採用・定着・教育・退職」など「人」に関して関心と課題(ニーズ)を抱えていることも大きな理由の1つと考えられます。
そんな中、大きく拡大しているHRTech市場のSaaSサービスとして、数年前より目にする機会が増えたのが、今回のテーマである「求職者リファレンスサービス」です。
たとえば、矢野経済研究所の調査によれば、国内HRTech市場は2025年に1,400億円規模に達する見込みで、年平均25%以上の成長率を示しています。これは採用分野においても「データやテクノロジーを活用した判断」が求められていることを物語っています。

求職者リファレンスとは?
ズバリ求職者リファレンスとは、
採用活動において応募があった求職者に対し、前職での勤務状況や評価・その人の人となりなどを調査する「求職者の身元照会」のようなことを指します。
例えば
・採用したものの、思っていたような方ではなかった…
・職務経歴書に記載されているようなパフォーマンスを期待していた…
などの双方の認識のズレによる採用ミスマッチや、
・履歴書や職務経歴書に記載されている内容に偽りがあった…
・面接で聞いていた内容と全然違う…
などの経歴詐称があったといったことを経験したことがある企業もあるのではないでしょうか。
また、履歴書・職務経歴書・面接やカジュアル面談でのコミュニケーションだけでは、採用合否の判断をすることができずに悩んでいる…
というようなシーンは、当たり前に多くの企業で発生します。
例えば、あなたが自社の採用担当であり、採用合否を意思決定する際に、上記のような課題や懸念点があったとして、求職者の前職での勤怠状況や勤務態度・周囲からの評価や退職時の対応などを知ることができればどうでしょうか?
もちろんその内容が、採用合否の全てではありませんが、1つの参考情報として意思決定材料になるのは間違いないと思います。
さらには、従業員のSNSアカウントによる投稿で、企業に火がついてしまうという事象があるのも昨今のSNS社会の特徴です。
各企業のSNSガイドラインに反していないかを事前確認する側面もあります。
そういった課題を解決するのが求職者リファレンスサービスというわけです。
現在では「Parame(パラミー)」「back check(バックチェック)」「HRBrain」などのリファレンスチェック専用SaaSが登場しており、Web上での同意取得・質問項目の設定・フィードバックの収集がすべて自動化されています。これにより、中小企業でも導入しやすい環境が整ってきました。
求職者リファレンスにおける3つのメリット
求職者リファレンスを実施することで、3つのメリットがあります。
・履歴書・職務経歴書に安心を付与
経歴詐称・過大申告がないかを確認することで 雇用契約前に信用度を図ることができる。
・過去職場のリアルな声を確認
面接時にイメージした働き方と実働後のギャップを限りなく埋めることができる。
・ビジネスパーソンとしての倫理意識を把握
過去職場での風評も加えることで、自社の倫理観との乖離や入社後のトラブルなどを未然に防げる。
結果的に、定着や活躍などといった大きな効果に繋げることができる施策と言えるでしょう。
また、採用における採否の判断は「印象・対人能力」と「業務遂行力・人物像」を潜在的に判断していると言われたりもします。
そして「印象・対人能力」は面談や面接で判断できるものの、「業務遂行力・人物像」に関しては客観的に判断する指標がなく、採用担当の想像で判断せざるを得ません。
求職者リファレンスを実施することで、採否に必要な「業務遂行力・人物像」を客観的に可視化することができるという特徴もあります。
反面、「そもそも求職者の前職を調査することって法律的に大丈夫なの?」「なんだかグレーなことをしている気がするため実施しないほうが良いんじゃないか…」というようなお声があるのも事実です。 その点に関しても解説していきたいと思います。
そもそも求職者の前職を調査するのって、グレーな施策なのでは?
求職者の前職調査や身元照会を実施しても良いのか、という点に関しては企業の採用担当として知っておくべきポイントが2つあります。
① 厚生労働省が発表している採用選考における指針に則ったチェック項目
厚生労働省のWebページ上で、公正な採用選考を進めるためのポイントや採用選考におけるチェックポイントが掲載されています。
詳細は厚生労働省が公開する「公正な採用選考の基本」にて確認できます。リファレンスチェックは、応募者の同意のもとで業務適性に関する内容のみを扱うことで、合法的な採用判断の一助として活用可能です。
参考リンク:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/saiyou/index.html
いわゆる、採用選考時に企業が求職者に対して「確認してはいけないポイント」と「確認しなくてはならないポイント」です。
基本的には、家族や生活環境・住宅状況・宗教関連に関することなどといった、応募者の適性・能力とは関係のない事項で採否を決定してはいけないという表記があります。
この事項に沿って、求職者リファレンスサービスは「確認しなくてはならないポイントに沿って調査を実施している」というわけです。
② 求職者の同意が必要
当たり前ですが、該当する応募者の前職調査や身元照会を実施する上で、本人の同意は必須になります。
例えば、
「過去勤務された会社における秘密保持・競合避止義務の内容・範囲について照会・問い合わせする事に問題はないか」などと言った同意を得ることが必要です。
よくあるケースとして、1次面接時に口頭などで詳細を説明し、上記文言が記載された同意書などに署名してもらうケースなどがあります。
見方によっては「前職調査の同意ができないということは…?」というような判断もできるかもしれません。 求職者リファレンスを実施する場合は、上記2点をしっかり理解した上で実施することが重要です。

求職者リファレンスの留意点
①ポジティブな要素を再確認するため
求職者の「前職調査」や「身元照会」などを実施するとなると、ネガティブな要素を見つける事ばかりが目的となってしまうケースがあります。
しかし、本質はポジティブな要素を再確認することです。
そもそも企業側としては「採用したい」、求職者としては「入社したい」と考えていると思います。
そんな中で、ネガティブ要素を探す活動となってしまうと、本来の目的からズレていく可能性が出てくるというわけです。
②求職者リファレンスはあくまで1つの材料
求職者リファレンスの結果を最優先して採否を決定することは大きなリスクがあります。
というのも、求職者リファレンス結果は絶対とは言い切れません。
「求職者リファレンスの結果が良かったから採用する」
「求職者リファレンスの結果が悪かったから不合格とする」
というような、リファレンス結果頼りの意思決定をしないことも重要なポイントです。
あくまで求職者リファレンスは採否を判断する上での1つの材料とし、
「ポジティブな要素を再確認するため」
「面談や面接などで感じた自身の判断や印象も重要視すること」
を前提に進めることをおすすめします。
求職者リファレンスを実施するタイミング
求職者リファレンスを実施するタイミングは企業によって様々です。
ただ、多くの求職者リファレンスサービスは、調査をする人数によって費用が発生したりもします。そのことより、最終面接前に実施する企業が多いのも事実です。
カジュアル面談や1次面接を終え、最終2次面接前に求職者リファレンスを実施し、客観的な指標も含めて最終面接に臨むというイメージになります。
アメリカなどでは当たり前に実施されている「求職者リファレンス」、日本でも浸透しつつある施策でもあるため、離職率や採用ミスマッチに課題を抱えている企業は実施を検討してみても良いのではないでしょうか。
リファレンスチェック導入企業の事例
たとえば、Parameはサイバーエージェントやミクシィなどの企業が導入しており、面接では把握しきれない協調性や離職理由などを把握する材料として活用されています。
また、back checkはRettyやLayerXなどの成長企業が採用し、採用ミスマッチや内定辞退のリスク低減につながったという事例も報告されています。
これらの事例に共通するのは、リファレンスチェックを「採用の最終判断材料」としてだけでなく、「トラブル防止」「定着率の向上」「カルチャーフィット確認」などにも活用している点です。
皆様の採用活動の改善に対し、少しでも有益な情報となっていれば嬉しく思います。
よくある質問(FAQ)
Q1. リファレンスチェックは違法ではありませんか?
→ 適切な同意を得たうえで、業務遂行能力に関連する内容に限定すれば、合法的な採用判断材料として活用可能です。
Q2. 拒否された場合はどう対処する?
→ 無理に進めず、候補者に理由を確認し、他の選考要素(面接、適性検査)と組み合わせて判断してください。
Q3. 中小企業でも導入できる?
→ 現在は1人あたり5,000〜10,000円で導入可能なSaaSツールもあり、低コストかつスピーディに活用可能です。
Q4. どんな職種に効果的?
→ 営業・管理職・法務・エンジニアなど、スキルと信頼性の両方が重視される職種で特に有効です。
また、別の記事も参考にしていただければ幸いです。
