中間面談は本当に必要?効果・目的・導入方法を人事が徹底解説
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2025.10.02
公開日:2022年3月12日 更新日:2025年10月02日
「中間面談、必要ですか?」
こう聞かれて、すぐに「もちろん」と答えられる企業は、意外と少ないかもしれません。特に「評価面談は期末にやればいい」「日々のコミュニケーションで十分」という声も根強く、制度として定着していない職場も多く見受けられます。
しかし中間面談には、やらないことによる“見えない損失”が存在します。評価の不一致、モチベーションの低下、目標の形骸化、そして上司・部下の信頼関係の希薄化など…。
一見“任意”で済ませていることが、じつは人材の活躍や定着に大きな影響を及ぼしているのです。
この記事では、中間面談の基本から実施しないことで起こるリスク、成功の進め方まで、具体的な実例を交えながらわかりやすく解説していきます。

中間面談とは?目的と基本ステップを徹底解説
中間面談とは、一般的に評価期間のちょうど中間地点で、上司と部下が目標の進捗を確認・すり合わせするために行う面談です。
たとえば評価期間が「4月〜9月」なら、7月頃に実施するのが一般的です。
出典:人事評価ガイド(人事院)
中間面談の目的は大きく4つあります:
つまり中間面談は、「ただの進捗確認」ではありません。
評価の公平性を保ち、目標を達成に導くための戦略的なコミュニケーション機会です。
中間面談がないとどうなる?よくある3つの失敗事例
中間面談の重要性を理解するには、「もし中間面談を実施しなかったら?」という視点が有効です。
ここでは、実際に多くの企業で起きている3つの典型的な失敗ケースを紹介しながら、それぞれに中間面談で防げるポイントを解説します。
失敗事例1:評価のすれ違いでモチベーションが崩壊
ある会社での出来事です。
期末の評価時、ある評価項目に対して「部下は自己評価で満点」「上司は最低点」をつけました。
評価期間はすでに終了していたため、すり合わせの余地はありません。結局、上司の評価が通る形で処理され、部下は強い不満を抱えたまま期末を迎えることに。
このような状況では、部下のモチベーションは大きく低下し、その後のパフォーマンスや離職リスクにもつながりかねません。
💡中間面談があれば…
中間の時点で「評価に対する考え方の違い」を認識し合い、「残りの期間でどうすれば高評価が得られるか」という建設的な対話が可能になります。
これにより、部下も納得感を持って目標達成に向かいやすくなり、評価の結果も受け入れやすくなります。
失敗事例2:目標を忘れたまま日々を過ごしていた
別のケースでは、部下が期首に設定した目標自体を忘れてしまい、半年間まったく違う業務に集中してしまっていました。
その結果、本人の自己評価も振るわず、当然ながら上司の評価も低評価に。
さらに悪いことに、この行動のズレはチームの目標進捗にも影響し、組織全体の足並みが乱れる事態に発展しました。
💡中間面談があれば…
本人は中間地点で目標を“思い出す”ことができますし、上司からのリマインドも可能です。
特に、個人目標がチームや会社の目標と連動している組織では、「中間時点での方向修正」は非常に重要なマネジメントポイントです。
失敗事例3:人事異動で目標が形骸化してしまった
評価期間中に人事異動があった社員のケースです。
異動前に立てた目標は、新しい部署ではまったく関係のない内容だったため、達成のしようがありませんでした。
最終的には、評価そのものが「形だけ」で行われ、本来の目標管理の意味を失ってしまいました。
部下も納得できず、「こんな評価ならいらない」と不信感を募らせる結果に。
💡中間面談があれば…
異動時点で目標の修正や再設定が可能です。また、異動前・異動後の評価責任をどう分担するかを話し合う機会にもなります。
これにより、部下の納得感も高まり、評価に対する信頼性が保たれます。
これらの事例は、どの企業でも起こりうるリアルな失敗です。
ですが、中間面談が「認識のズレ」や「進行中の異常」に気づくセーフティネットとして機能すれば、未然に防ぐことができるのです。
中間面談の5つのメリット:評価の公平性と納得感がアップ
中間面談は単なる“途中チェック”ではなく、上司と部下、双方にとって価値ある仕組みです。
ここでは、中間面談を制度としてしっかり運用することで得られる、主な5つのメリットをご紹介します。
1. 評価のズレを防ぎ、公平性が高まる
期末評価時に「思っていた評価と違った」というギャップは、従業員の不満や不信につながります。
中間面談で、現時点の評価の方向性を話し合うことで、期末でのすれ違いを未然に防げます。
さらに、「あと3ヶ月でどこをどう伸ばせば、高評価が得られるのか」といったアドバイスもできるため、部下にとっては成長への明確な道筋となります。
2. 目標の忘却・形骸化を防げる
忙しい日々の中で、期首に設定した目標が「気がついたら頭から抜けていた」ということはよくあります。
中間面談では、目標を再認識し、軌道修正する機会となるため、目標が“生きた指針”として維持されます。
結果として、目標の達成率や業績貢献度が向上し、目標管理制度全体の質も底上げされます。
3. 部下のモチベーションを維持・向上できる
人は、「見てもらえている」「話を聞いてもらえる」と感じるだけで、やる気が高まるものです。
中間面談は、部下の努力や成果に対してリアルタイムでフィードバックを行える場でもあり、承認欲求の充足や、成長実感を与える貴重なチャンスになります。
特に若手社員にとっては、「評価の透明性」や「上司との対話の機会」は働きがいに直結する要素です。
4. 組織の目標と個人の目標をつなげやすくなる
個人の目標は、チームや会社全体の目標とリンクしていることが多いです。
中間面談で進捗を確認することにより、個人→チーム→会社と目標の流れが途切れず、組織としての一体感が高まります。
逆に言えば、中間面談がないと「現場と経営の温度差」が広がる可能性もあるのです。
5. 離職防止につながる
中間面談は、定期的な1on1の延長線上にも位置づけられます。
上司と部下が定期的に話し合うことで、ちょっとした不安や不満を早期にキャッチでき、離職リスクの兆候を察知しやすくなります。
特に最近の若年層は、「成長できる環境かどうか」を重視して転職活動を行います。
中間面談は、キャリアへの支援姿勢を伝える良い機会にもなり、エンゲージメントを高める手段としても有効です。
このように中間面談は、単なる“評価途中のチェック”にとどまらず、評価の質、目標管理、組織文化、従業員満足度といった複数の側面で価値を発揮する制度です。
成功する中間面談の進め方|準備・実施・フォローのコツ
中間面談は、「ただ実施すれば良い」わけではありません。
内容や進め方によっては、逆に部下のモチベーションを下げてしまうこともあります。
ここでは、効果的な中間面談を行うための3つのステップ(準備・実施・フォロー)に分けてポイントを解説します。
ステップ1:準備|事前のすり合わせがカギ
中間面談の質は、面談前の準備でほぼ決まると言っても過言ではありません。
上司・部下それぞれに以下のような準備が求められます。
上司側の準備:
部下側の準備:
事前に簡単な面談シート(進捗+自己評価)を提出させると、スムーズな対話が実現します。
ステップ2:実施|双方向の対話を意識する
面談当日は、上司からの一方的な指導や評価の場ではありません。
部下の声を聞き、思考を引き出す「対話型」のコミュニケーションが重要です。
効果的な進行の流れ:
- 冒頭のアイスブレイク(最近の仕事や体調など)
- 進捗報告と自己評価の共有
- 上司からのフィードバックとアドバイス
- 今後の改善・方向性のすり合わせ
- 目標の修正や追加が必要かを確認
- 最後に「本人が感じていること」を聞く
特に大切なのは、「目標に対して何がうまくいっていて、何が課題なのか」を一緒に言語化していくことです。
言語化されることで、部下自身が「やるべきこと」が明確になり、主体性を持って取り組みやすくなります。
出典:中間面談で聞くべき質問例(AME&Company)
ステップ3:フォロー|面談で終わらせない
面談は「やりっぱなし」にせず、振り返りと継続的なフォローがあって初めて意味を持ちます。
フォローの具体例:
フォローアップがあることで、「あの面談で言ったこと、覚えてくれてる」と部下が感じやすくなり、信頼関係の強化にもつながります。
効果的な中間面談には、「準備→実施→フォロー」の3ステップすべてが欠かせません。
流れに沿った運用を心がけることで、形だけではない“意味のある対話”が実現します。
1on1との違いと併用のすすめ
「中間面談」と混同されがちなものに、「1on1面談」があります。
どちらも上司と部下が対話を行う点では共通していますが、目的や位置づけが大きく異なります。
中間面談と1on1面談の違い
| 比較項目 | 中間面談 | 1on1面談 |
| 実施頻度 | 半期に1回(評価期間中間) | 月1回〜週1回など高頻度 |
| 目的 | 目標の進捗確認、評価のすり合わせ、修正 | 日々の悩み相談、関係構築、モチベーション維持 |
| 主導権 | 上司主導が多い | 部下主導が望ましい(傾聴重視) |
| 内容 | 目標と成果にフォーカス | 感情、成長、キャリアなども含む幅広い内容 |
| 書面化 | 評価資料として残すことが多い | 基本的には記録不要または簡易記録 |
1on1面談は、“部下の成長支援と信頼構築”が中心ですが、
中間面談は、「目標管理の観点から見る“進捗と評価”の中間チェック」として、評価制度の中に位置づけられるものです。
併用がベストな理由
両者は役割が異なるため、どちらか一方だけでは不十分です。
日常的に1on1で信頼関係を築きつつ、評価の中間点では中間面談で「戦略的な軌道修正」を行う。
この2つをうまく組み合わせることで、以下のような効果が期待できます:
たとえば、「1on1は月1回」「中間面談は7月・1月」とルールを明確にし、それぞれに合ったテンプレートや進行手順を整えると、より効果的な運用が可能です。
つまり、中間面談と1on1は「どちらかではなく、どちらも」。
併用によって、部下の成長と評価制度が連動しやすくなり、組織全体のマネジメントの質も上がります。
中間面談を制度化すべき理由と導入のすすめ
「中間面談はやったほうがいい」と思っていても、実際には“任意”として扱っている企業も多いのが現実です。
ですが、ここまで紹介してきたように、中間面談には制度化するだけの明確な価値と理由があります。
なぜ“任意”ではなく“制度化”すべきなのか?
理由1:運用のムラをなくすため
任意にしていると、面談の実施有無が上司によってバラバラになります。
ある部署では丁寧に実施されているのに、別の部署では全く行われていない――そんな状態では評価の公平性も保てません。
制度化すれば、実施のタイミングや方法が一定となり、組織全体での一貫したマネジメントが可能になります。
理由2:評価制度の信頼性が高まる
中間面談を制度として組み込むことで、「この会社は、評価に対して本気で向き合っている」と社員に伝わります。
これは評価制度への信頼につながり、納得感のある評価結果が出せるようになります。
理由3:実施率が上がることで成果が出やすくなる
制度化によって「必ず実施される」環境が整えば、実施率は当然高まります。
その結果、評価のすり合わせ、目標修正、モチベーション維持といった中間面談の効果が、組織全体に波及していきます。
導入のすすめ:始めるなら今がチャンス
「制度化」と聞くと、ハードルが高く感じるかもしれません。
ですが、以下のようなシンプルな導入ステップでスタートできます:
中間面談制度導入のステップ例:
- タイミングを決める(例:評価期間の3ヶ月目)
- 実施対象を明確にする(全社員 or 管理職層のみ など)
- テンプレートを作成する(記入シート・評価チェック項目など)
- 進行フローを標準化する(面談の流れ、時間配分)
- 管理部門が実施状況をモニタリングする(報告・フィードバック含む)
初めはシンプルでも構いません。大切なのは、やり方を明確にして、継続的に運用することです。
中間面談の制度化=人材育成への本気度の表れ
昨今の人材市場では、「評価制度がしっかりしている会社か」「自分のキャリアに関心を持ってくれる会社か」は、人材の定着率や採用成功率にも直結します。
中間面談の制度化は、単なる人事制度ではなく、組織文化そのものの強化につながる一手とも言えるのです。
中間面談は「やらないリスク」が大きすぎる
ここまで中間面談の意義と必要性、そして実践方法について詳しくお伝えしてきました。
振り返ってみると、中間面談は「評価の公平性を保つ」だけでなく、人材育成、目標達成、モチベーション維持、離職防止といった多方面に価値をもたらす施策です。
“やるべきか”ではなく、“やらないと損”の時代へ
中間面談を任意としている状態では、知らぬ間に次のような課題が生まれやすくなります:
これらは、企業にとって「静かな損失」です。
制度として中間面談を組み込むことが、こうしたリスクを減らし、組織力を高める最短ルートとなります。
中間面談は未来への“人材投資”
短時間の面談で得られる成果は、コスト以上の価値を持ちます。
とくに若手社員や管理職候補にとって、定期的なフィードバックや方向性のすり合わせは、働きがいや成長実感を生む重要な機会です。
評価制度を強化したい、組織文化を見直したいと感じている企業にとって、中間面談の制度化は第一歩として非常に有効なアプローチです。
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