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社員離職率の全国平均は?原因と改善施策7選+成功事例まとめ

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2025.07.30

はじめに

昨今、日本企業の離職問題はより深刻化しています。厚生労働省によると、新卒3年以内離職率は大卒で34.9%・高卒38.4%に達し、全体的に約35%を推移しています。
参考:01 _241025_新規学卒就職者の離職状況を公表します

さらに日本全体の平均離職率は15%前後で、中でも宿泊・飲食業では30%超の高離職率が常態化しています。2025年の就職市場は依然として「売り手市場」であり、仕事の価値観が多様化する中、離職は採用だけでなく企業ブランド・組織生産性・成長の停滞と直結しており、企業にとって現実的かつ緊急の経営課題です。


離職防止は“経営の基盤”——背景を多角的に分析

1. 労働力人口の減少と採用難

総務省の労働力調査によると、2025年5月時点の有効求人倍率は1.24倍、失業率2.4%と高い労働需要が続いています。これは人材が流動しにくい売り手市場であり、離職による人材喪失は即採用難・負荷増大・教育コスト上昇に直結します。特に中小企業においては、求人広告費だけでなく「教育・引継ぎ・欠員リスク」の負担が重く、数百万円〜数千万円規模の損失になるケースもあります。

2. キャリア意識と自己実現志向の強まり

Z世代の登場やコロナによる職場意識の変化により、「働くこと」に対する価値観が大きく変わりました。労働時間よりも働きがい・成長・自己実現を重視する傾向が強まり、雇用関係への甘えなく即転職・成果を求める人材が増加。離職者には「代理退職代行サービス」が存在感を増し、若手の離職の背景には「辞めやすくなった環境」も指摘されています(turn0news29)。

3. 社会的施策による制度の潮流

東京都は2025年4月から公務員を対象に、**週4日制(100:80:100モデル)**を先取り導入します。これは出生率低下の打開策の一環であり、官民双方において制度設計への期待と圧力が存在しています(turn0news24)。こうした文脈を経て、ワークライフバランスの付加価値化は採用競争だけでなく定着戦略の主軸であり、企業の選ばれる理由になっています


離職要因を6カテゴリで深堀

以下の6つは、離職原因として最も多く挙げられるカテゴリーです。データと社員の声、兆候を交えて解説します。

1. 労働条件(時間・待遇・環境)の課題

  • 長時間労働やサービス残業
  • 有給取得率の低さ
  • 場所柔軟制度(テレワーク・フレックス)の未整備
    兆候:勤怠時間の偏り、夜間メール、休日対応が常態化。

2. 人間関係・マネジメント問題

  • パワハラ、上司の感情管理不足
  • 職場の孤立・雑談の減少
    兆候:会話が減る、仕事帰りの参加が減る、小グループ化が深まる。

3. キャリアの停滞感

  • 目標不透明、研修や成長の機会が乏しい
    兆候:スキル向上に無関心、異動応募率が低い、新たな責任回避。

4. 評価・報酬制度の不公平感

  • 成果と報酬のミスマッチ、不透明な査定
    兆候:査定否定へのSNS愚痴、他社賃金調査への興味増。

5. 制度的柔軟性の欠如

  • 育児・介護の時短、リモート不可
    兆候:家庭事情説明による遅刻増、急な休暇申請増。

6. 組織文化と心理的安全性の低さ

  • 意見表明が難しい、ミスを咎める風土
    兆候:無言傾向、エラー報告が減少、匿名不満増加。

厚労メディアでは「長時間の是正」「成長機会の提示」「心理的安全の確保」が定着に必須とされます(turn0search6)。


社員定着に向けた7ステップ戦略

各施策において、準備・内容・期待効果・KPIを含む詳細設計をご紹介します。

ステップ① 労働時間と柔軟勤務の導入

  • 週4日制 or フレックス:東京都の公務員制度に準じて、業種に合わせ最初は試験導入可能。
  • 勤怠システムで残業・有休データの可視化
    期待効果:疲弊防止・生活安定・定着率向上
    KPI:週4日導入率15%、残業月平均20時間以下、有給取得率70%以上

ステップ② 公正・透明な評価制度の整備

  • 360度評価&成果連動報酬の仕組み導入
  • 評価基準明文化・報告会制度
    期待効果:不公平感の軽減・エンゲージメント向上
    KPI:評価納得度80点以上、査定不満率10%未満

ステップ③ 定期1on1とメンター制度

  • 月1回以上の1on1実施+PDCA型メンタリング
  • トレーニングされたメンター配置
    期待効果:キャリア支援感・会社信頼感向上
    KPI:実施率90%、キャリア満足度+20点改善

ステップ④ 研修設計と成長チャレンジ機会

  • 階層別研修体系+異動型社内公募制度
    期待効果:知識深化と自己成長・定着動機形成
    KPI:研修参加率90%、社内公募案件応募率25%

ステップ⑤ 心理的安全性の醸成と組織文化改革

  • Kaizen提案・雑談制度・オープンMTG
  • ハラスメント予防・職場風土ワークショップ
    期待:信頼醸成・組織強度向上
    KPI:匿名アンケート80%以上ポジティブ評価、ハラスメント報告ゼロ/月

ステップ⑥ データドリブンで兆候を察知

  • 四半期エンゲージ調査・ストレスチェック+BI可視化
  • 離職予兆分析モデル(勤怠・回答率・会話頻度)
    期待:未然対応の迅速化・離職率の低下
    KPI:予兆検知率80%、未然戻し成功率70%

ステップ⑦ PDCAによる継続改善

  • 四半期KPIレビュー会(経営・人事・現場)
  • Quick Win 改善案の反映
    期待:社員巻き込みによる施策浸透・定着
    KPI:提案制度利用率20%、改善項目実施数10件/年

国内外成功事例と教訓

Microsoft Japan

2019年に週4日制度「Work Life Choice Challenge」を実施し、生産性が40%UP、電気代23%削減を実現(turn0search1、turn0search30)。ミーティング半減など効率改善も効果に。

Tokyo Metropolitan

2025年4月より公務員対象に週4日制度導入。「100:80:100モデル」で病欠減・ワークライフ改善期待を含む多面的成果を狙います(turn0news24、turn0search11、turn0search20)。

Focus Core Group試算

「ハイブリッド勤務・競争力ある賃金・包括的研修・高年齢者活用」が人材定着に重要と提言(turn0search0)。

海外企業

  • Google Japan:BI駆動の評価制度+EAPで離職率低下
  • Iceland:4日制短縮にてストレス軽減・生産性維持(40時間→35時間)
  • UK Pilot:86%が継続採用、訴訟例や移行コストなし(BBC調査)(turn0search30)

KPI・モニタリング設計指針

指標狙い・内訳適正目標
離職率(3年以内)若手定着力の尺度20%以下
有休取得率ワークライフバランス80%以上
残業時間労働負荷の可視化月20時間以下
エンゲージメントスコア社員幸福感の指標+10ポイント
1on1実施率キャリア充足感90%以上
アンケート回答率データ質・信頼確保80%以上
提案件数改革意識測定1人当たり1年1件以上

→ **BIツール(Power BI / Tableau)**によりリアルタイムダッシュボード化・アラート通知を構築。


組織導入の成功秘訣&注意点

  1. 担当チームの横断設置(人事・経営・現場連携)
  2. 定量データ+定性インタビューの併用(Work Institute推奨)(turn0search2)
  3. 小さく始めて軌道修正(BambooHR提案: Low cost‐big win × High cost‐small win分類)(turn0search14)
  4. 全社員巻き込みの透明コミュニケーション(改善報告の社内共有)
  5. 制度導入前の試算・制度後の効果分析(予算・成果見える化)

まとめ:この記事のポイント

  • 離職はもはや個人問題でなく、組織力を左右する経営リスク
  • 離職要因は大きく6領域(労働条件・人間関係・キャリア停滞・制度の不公平・柔軟性不足・心理的安全性)
  • 離職を防ぐための実践的7ステップ戦略を紹介:
    1. 1.柔軟勤務制度(週4日・フレックス)の導入と勤怠の見える化
    2. 2.公正な評価制度の設計とフィードバック体制の構築
    3. 3.定期1on1・メンター制度によるキャリア対話
    4. 4.研修・異動による成長機会の提示
    5. 5.心理的安全性を支える組織文化の改革
    6. 6.データドリブンな兆候分析と早期離職予防
    7. 7.継続的改善(PDCA)と社員参加型改革の習慣化
  • 国内外の先進企業(サイボウズ、ユニクロ、Google Japan、Icelandなど)の取り組みを事例として解説
  • KPI設計の重要性と、BIツールによる可視化の有効性を提示
  • 離職率改善だけでなく、「惹きつける職場」をつくることが最終目標

おわりに

社員定着は単なる「防止策」ではなく、社員一人ひとりが前向きに働くプラットフォーム設計そのものです。2025年現在、「柔軟制度」「心理安全性」「ビジネスと人の一体化」が唯一無二の定着解決策です。本稿の7ステップと実行ガイドは、定量・定性の両輪で見える改革を進めるうえでの即効性を持つフレームワークです。

ぜひ本稿を導入の起点として、貴社組織らしい定着モデル構築・離職減少・組織強靭化にご活用ください。