【中小企業×採用】ちょっと待って!面接時のその質問、聞いていいことですか?!
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2024.08.16
お盆休みも終わり、本日より業務開始の企業様や、有給休暇を入れて長い連休を取られている方もいらっしゃいますよね。
長めの休み明けは、気持ちを入れ替え転職活動を行う方も多くおられる印象です。応募や面談・面接の機会も増えるのではないでしょうか。
さてみなさまはどんな面接時、求職者に対してどのような質問をしていますか?候補者自身についてや、自社とのマッチングを確認するため、様々な質問をされるかと思うのですが、ちょっと待ってください!
その質問、してもOKな質問でしょうか?
面接は、企業と応募者が互いに理解を深め、適合性を判断する重要な場です。しかし、意図せずに不適切な質問をしてしまうと、応募者に不快感を与え、最悪の場合、法的な問題に発展する可能性だってあります。
今回は、面接時に避けるべき質問についてよくある3つ、具体例やエピソードを交えながら解説したいと思います。
面接のときに聞いてはいけない質問
1.年齢に関する質問
採用面接において、応募者の年齢はほとんどの企業にとって気になるポイントかもしれません。しかし、日本の労働法や倫理規定に基づき、年齢に関する質問には慎重な対応が求められます。
まず、厚生労働省は、年齢に基づく差別を避けるため、面接で年齢を直接聞くことを推奨していません。年齢を尋ねることで、応募者が不公平な扱いを受けるリスクがあるためです。
ただし特定の職務で年齢が法的に重要な場合、例えば未成年者の雇用に関する制限などには、例外として年齢確認が必要になることもあります。しかし、こうした場合でも、年齢を直接聞くのではなく、職務経験やスキルに関連する質問を通じて間接的に確認する方法が推奨されます。
経歴やスキルを深掘りする際に、応募者が最初に就職した年や、特定の経験を積んだ時期について質問することで、必要な情報を引き出すことができます。ただし、このような質問もあくまで職務に関連する範囲に留めることが重要となります。
事例:
ある企業で、応募者が「この仕事は経験が必要ですが、若いあなたには難しくないですか?」と質問されました。応募者は、この質問が自分の年齢に基づいており、不公平な評価を受けたと感じました。最終的に応募者は、このことをSNSで共有し、企業の評判に大きな傷がつくという結果になりました。
代替質問例:
「この役職で成功するために、どのような経験を積んできましたか?」と質問することで、応募者のスキルや経験に焦点を当てることができます。
2.婚姻状況や家庭に関する質問
日本の労働法やガイドラインに基づき、婚姻状況や家庭環境についての質問は、差別とみなされる可能性があるため、原則として避けるべきです。特に女性応募者に対する差別と見なされるリスクがあり、結婚や子どもを持つことが仕事に影響するという前提に基づいた質問は、応募者に不快感を与えるだけでなく、差別的な意図があると解釈されることもあります。
具体的には、「結婚されていますか?」や「お子さんはいますか?」といった質問は、応募者がプライベートな状況を明かさざるを得ない立場に追い込まれる可能性があり、望ましくありません。こういった質問は、特に女性応募者に対して、出産や育児との両立に対する不安を煽ることにもつながりかねません。
もちろん、業務に直接関係する事項について確認することは必要ですが、その際も婚姻状況や家庭に関する情報を聞き出すことは避け、業務上の必要性に限定した質問を行うことが求められます。例えば、転勤の可否や県外への長距離出張に対応できるかどうかを尋ねることは適切です。しかしその場合も、すべての応募者に公平に同じ質問をする必要があります。
事例:
あるIT企業で、女性エンジニアがプロジェクトリーダー職の面接を受けた際、面接官から「あなたは結婚していて、小さなお子さんがいらっしゃるようですが、家庭と仕事をどうやって両立しますか?」と尋ねられました。応募者は、家庭状況を理由に職務に適さないと判断されているように感じ、結果として他の企業への入社を決めました。
適切な代替質問:
「このポジションには〇〇といった業務が発生しますが、対応可能でしょうか?」と質問することで、個人のプライベートな事柄には触れず、仕事に関する能力を評価できるでしょう。
3. 国籍や出身地に関する質問
国籍や出身地に関する質問は、応募者のルーツや文化的背景を不適切に評価するものであり、人種差別と見なされる可能性があります。特に、国籍が業務に直接関係ない場合、これらの質問は不適切になります。
加えて、宗教と信仰も同様です。多様なバックグラウンドを持つ方々が増えている中で、応募者が安心して面接を受けられる環境を整えることが大切になります。
事例:
とある企業で、外国籍の応募者が面接を受けた際、「どこの国の方ですか?」と尋ねました。応募者は、この質問が自分の国籍が不利に働く可能性と不安を覚えました。結果として、この企業は多様性に対する理解が不足している企業であると感じ、最終的に別の企業からのオファーを受けました。
適切な代替質問:
「この業務には、特定の言語スキルが必要になってくるのですが問題はございませんでしょうか?」と尋ねることで、応募者のスキルに焦点を当てることができます。
例外について
「このような質問はしてはいけない」とお伝えしましたが、もちろん例外は存在します。
年齢について
年齢に関連する質問が合法的に許される場合もあります。
たとえば、法的に特定の年齢が求められる職務(例: アルコールを取り扱う職場での最低年齢要件)では、応募者の年齢確認が必要です。
また、キャリア育成を目的として若手人材を採用したい企業も多いと思いますが、配慮が必要です。
その制限が職務内容やキャリア育成プログラムの特性に密接に関連していることを明確にすることが必要で、例えば、「若年層の長期的なキャリア育成を目的として、一定の年齢層を対象とする」旨を募集要項に記載し、その理由を具体的に説明することが求められます。
また、年齢制限を設ける代わりに、「〇年以上の経験を有すること」や「特定のスキルセットを持つこと」といった条件を設けることで、実質的に若手人材をターゲットにしつつも、年齢にとらわれない公平な採用プロセスを実現する方法もあります。
このように年齢制限を設ける場合は、その必要性を十分に検討・開示し、法的リスクを回避するために適切な手続きを踏むことが大切です。
婚姻状況や家庭に関する内容
家庭や婚姻状況に関する質問が許されるのは、応募者が自らその話題を持ち出した場合や、リモートワークなどの特定の状況下で必要な情報を得る場合です。
ただし、その場合も、差別的な意図がないことを明確にし仕事の要件に焦点を当てるべきです。
就労条件
国籍に関する質問が合法的に許される場合として、言語スキルやビザの要件が挙げられます。
例えば、応募者が特定の業務を遂行するために特定の言語で高度なスキルを持っていることが必要になってくる場合、その言語能力に関する質問をすることは可能です。また、外国籍の応募者の場合、法的に必要な労働ビザの取得状況について確認することも許可されます。
ですので、「このポジションでは日本語のビジネスレベルのスキルが必要です。このスキルをどのように習得しましたか?」や「当社で勤務していただくために適切なビザはすでにお持ちですか?」といった質問は適切です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
面接では、応募者のスキルや経験に焦点を当て、公平で偏りのない質問をすることが重要です。違法な質問やプライバシーを侵害する質問は、応募者に不快感を与えるだけでなく、企業の評判を損なうリスクも大いにあります。
また、過去と今では面接時の常識が大きく変化しており、かつては許容された質問が、現代では不適切とされることが増えています。このため、最新のガイドラインに従って面接を行うことが求められます。
さらに、昨今ではSNSでの情報拡散が容易になっており、不適切な質問が広く共有されることで、企業にとって重大な二次災害を引き起こす可能性があります。このような状況を避けるためにも、面接では慎重かつ適切な質問を心がけることが不可欠です。
例外的に特定の状況下では、必要な情報を確認するための質問が許されることもありますが、その場合でも応募者に対して敬意を持って接することが求められます。
採用活動の成功には、応募者との信頼関係を築くことが鍵となります。