【中小企業×採用】キャリアプランの明確化が採用力向上のカギ!
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2024.07.02
若手人材のよくある退職理由の1つとして、「ずっとこの会社で働いているのは不安に思う…」というものがあります。
表面上の退職理由は
「ほかにやりたいことが見つかって」
「あまり会社に貢献できている気がしなくて」
「周囲のメンバーとなかなか馴染めず」
など、さまざまありますが、本質的な退職理由はほかにあるケースも多々あります。
その中の1つが、「ずっとこの会社で働いているのは不安に思う…」です。
もちろん退職時に面と向かってその理由を伝えてくれる人はあまりいないと思います。
今も昔も、若年層であるほど、自分自身の将来の生活や人生をぼんやり不安に思っているものです。
誰とどこに住んでいて、年収はどの程度で、貯金はあるのか、楽しく生活できているかなど。
つまり就職活動に置き換えてみたときに、将来のライフイメージを具体的に見える化することは入社の意思決定の向上に繋がりやすいということです。
そこで今回は、そういった仕組みをどのようにイメージさせる仕組み、キャリアパス制度について解説していきたいと思います。
ライフプランとキャリアプランの関係性
「ずっとこの会社で働いているのは不安に思う…」。
これは、ある会社で出てきた課題のひとつですが、なぜこのような不安を持つかについて社員にヒアリングをした結果、「キャリアプランが不明瞭」「将来(数年後)の自分のキャリア・年収・業務内容が見えない」という回答がありました。
キャリアプランとは、「理想とする自分の仕事や働き方についての将来像とその道筋」です。
また、ライフプランとは、「理想とする自分の生活についての将来像とその道筋」です。
キャリアプランはライフプランと連動していて、たとえばライフプランには、
「35歳のときには外車に乗っていたい」
「将来はタワーマンションに住みたい」
「家族と不自由なく暮らせていれば、それだけで十分」
など、いろいろなものがあり、自分が思い描く数年後の生活像のようなものです。
たとえば、「将来はタワーマンションに住みたい」というライフプランを描いた場合に、
・将来はタワマンに住む
↓
・そのときには年収1000万円くらいになっておかないといけない
↓
・年収1000万円になるには、部長になる必要がある
↓
・部長になるには、チームをもって部下をマネジメントできないといけない
↓
・そのためには、まず「3年後までに係長になる必要がある」
と考えるのが、キャリアプランです。ライフプランの目標と連動して自分のキャリアを考え、具体的な目標を考えます。
25歳・一般職・年収350万円の会社員Aさんが「30歳で年収1000万円になり、タワーマンションに住みたい」というライフプランを持っていたとします。
これに対して、「そもそも今の会社では5年間で350万円から1000万円の年収にはなれない」としたらミスマッチです。
また、会社によっては、そのような仕組みや規定すらなく、5年で年収350万円から1000万円になれるかどうかすらわからない、ということもあります。 つまりAさんは、自分が将来どんなポジションで、どんな仕事をし、どんな年収になって、どんな生活を送っているかの想像がつかないまま働いているというわけです。
キャリアプランをイメージさせるための人事制度、キャリアパス制度
採用力と定着率の向上を目的にキャリアパス制度を導入する中小企業が増えてきています。
キャリアパス制度とは
- 今の職位やポジションではどのような業務が対象となるのか。
- 何ができるようになれば、次の職位やポジションにあがることができるのか。
- その職位やポジションでは、どのような業務内容・年収となるのか。
- 各職位やポジションでの権限・働き方・手当などは。
を明確化した人事制度の1つです。
こういった仕組みがあることにより、「何をすれば(できるようになれば)・何年で・いくらくらいの年収があり、どのような自分になれ、どのような生活を送ることができるのか」をイメージすることができるようになります。
例えば、評価面談や1on1面談で部下から
「何をすれば係長になれますか?」
「年収〇〇万円を目指しているんですけど!」
「課長になれば何をする必要がありますか?」
などの質問があり、明確に回答できなかった経験はないでしょうか?
また、例えば部下に対して
「課長なのにこういったこともできず…」
「係長なんだからもうちょっと教育もしてもしいな…」
「部長なんだから何でもかんでも確認を取らず、自分の決裁の中でうまく進めてほしいな…」
などと思った経験はないでしょうか?
こういった事項の背景には、そもそも会社として、各職位ごとの定義や昇格降格の基準を明確にしていないということがあります。
つまり、キャリアパス制度は、採用力向上だけでなく、既存社員のモチベーションや定着率向上にも大きく影響する仕組みというわけです。
キャリアパス制度を構築にするための5つのポイント
改めて、キャリアパス制度とは、自社内にある各職種や職位ごとに、業務内容・年収・働き方などを可視化した仕組みであり、「将来どのようなキャリアを形成するのか」「どのようなライフプランが描けるのか」を具体的にイメージすることができます。
働きやすさやモチベーションの向上、そして、その先にある定着率の向上にもつながるというわけです。
キャリアパス制度があることにより、次のような役割や基準が明確になります。
- 何をすれば昇格できるか
- 各職位では、どのような業務が対象になり、年収はどのくらいか
- 各職位では、何を目標とし、どのような権限を持ち、どのような働き方をしているのか
キャリアパス制度には、大きく5つの仕組みが必要です。
①職位ごとの定義
・自社にはどのような職位があるか
・各職位で求められる職務内容はどのようなものか
・各職位ではどのような権限を持っているか
②所属ごとのキャリアの道筋
・所属している部署や職種において、入社後にはどのようなキャリアの道筋があるか
たとえば、営業部に入社後、「将来的には営業・マーケティング・カスタマーサクセス・営業事務の4つの職種に配属希望を出すことができる」 など
③所属・職位ごとの年収イメージ
・年収イメージを可視化した賃金テーブルを作成
営業部で一般職=年収400万円~500万円
管理部で部長職=年収900万円~1100万円 など
④所属・職位ごとの業務内容
・部署や職位によって異なる業務内容を明確化する
たとえば「エンジニアのマネジャー職=顧客予算に応じてIT技術を活用した解決策を提案するための先端技術を習得しており、部下に対して技術共有を行っている。部下のアウトプットに対し、改善をうながすレビューを実施することができる」 など
⑤昇格・降格の基準
・何をすれば(できるようになれば)一般職から主任職に昇格できるのか
・何をしてしまった場合に降格の対象となるのか
中小企業こそキャリアパス制度を構築し、採用広報として活用する!
上記のようなキャリアを明確化した仕組みがある中小企業はあまりありません。
つまり、仕組化し、活用することによりベンチマーク企業との差別化を図ることができるというわけです。
採用活動でイメージした時の具体的な活用方法は下記の2点です。
①採用広報として活用
情報化社会となった今、求職者はweb上の情報で多くの会社を比較検討することができるようになりました。
つまり採用広報コンテンツとして、キャリアパスについて発信することで、興味検討段階で勝ち抜くことができ、応募数向上につなげることができるというわけです。
②面接時のクロージング材料として活用
人材不足である昨今において、応募があった求職者の辞退は非常に残念なことです。
そうならないためにも、面接時には人事担当や面接官がしっかりクロージングし、求職者に魅力を伝える必要があります。
そういったシーンでキャリアパスを活用することにより、クリアな仕組み・クリアな姿勢に内定辞退率の低下につなげることができます。
もし、自社内でキャリアパスの仕組みがない企業は、構築を検討してみてもいいのではないでしょうか。
採用活動に苦戦している企業にとって、少しでも有益な情報になっていれば大変うれしく思います。他にも「中小企業×採用」に関するブログ記事を掲載していますので、参考にしていただければと思います。
今後とも株式会社Dotsをよろしくお願いいたします。