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2021/01/30同一労働同一賃金に関する最高裁の判例

同一労働同一賃金に関する判例が少しずつ出始めております。

まさにこれが今後の基準となり、企業の対策のポイントとなってきます。

今回はそんな判例に関してお伝えしていきたいと思います。

 

同一労働同一賃金が、裁判でも認められた過去の例

まずは2018年6月に判決が出た最高裁の裁判がどのようなものだったのかご紹介いたします。

①「ハマキョウレックス事件」

現役世代の有期契約労働者が正社員に支払われていた6つの各種手当が、契約社員に支給されていなかった

【最高裁の見解】

6つの手当のうち5つを支払うように命じた

 

②「長澤運輸事件」

60歳以降の定年後再雇用の有期契約労働者が、基本給や賞与が下がったことを不当とした裁判

【最高裁の見解】

「定年後再雇用において基本給や賞与で差が出るのは仕方ない部分もある」という見解

 

同一賃金同一労働が施工された2020年4月以降の判例

2020年10月13日・15日、最高裁が同一労働同一賃金(待遇格差訴訟)に関する判決を下しました。

 

 

「大阪医科薬科大学事件」「メトロコマース事件」では賞与・退職金を支給しないことが「不合理ではない」(=支給しなくて良い)とされ、「日本郵便(佐賀・東京・大阪)事件」では、各種手当・休暇に関する待遇差が「不合理」(=支給すべき)であるとされました。

 

まず、同一労働同一賃金とは、国が進める正社員・非正規雇用(契約社員・アルバイト・派遣など)の待遇格差を是正しようとする政策ですが、「同じ仕事をしていれば同じ賃金」という単純な話ではありません。

というのも原則として、日本での同一労働同一賃金は「業務内容」「責任」「配置変更範囲」「その他の事情」という4つの要素を考慮して「合理」か「不合理」の判断が下されるという制度になっています(パート・有期法8条)。

その上で、各判例に関して見ていきます。

 

③「大阪医科薬科大学事件」

【最高裁の見解】

まず、職務内容に関しては、アルバイトは「相当に軽易」である一方、正社員は英文学術誌の編集や病理解剖遺族対応、劇物管理など独自の業務があること。

そして、配置転換に関しては、アルバイトは原則として業務命令により配置転換されることは無いことに対し、正社員は教室事務から病院業務担当になることもあるということ。

 

さらに、教室事務業務では簡易作業が多く、正社員からアルバイトに業務を受け渡してきた経緯やアルバイト職員から契約社員、正社員への登用制度が設けられていたこと。

こういった各要素に対して、正規・非正規の待遇(賞与を支給しないこと)は不合理ではないと判断が下されたという訳です。

 

④「メトロコマース事件」

【最高裁の見解】

まず、職務内容に関しては、売店の販売業務という点は同じだが、休暇や欠勤で不在分の補充という「代務業務」、エリアマネージャー業務は正社員のみであること。

そして、配置転換に関しては、、正社員は配置転換があるが、契約社員は勤務場所の変更はあっても業務内容が変わることは無いこと

 

さらに、契約社員から職種限定正社員、そして正社員への登用制度があり、相当数の登用が実際あること

こういった各要素に対して、正規・非正規の待遇(退職金を支給しないこと)は不合理ではないと判断が下されたという訳です。

 

⑤「日本郵便事件」

【最高裁の見解】

多少の業務内容や責任の差があったとしても、例えば年末年始手当については「年末年始に仕事をする事に対し支払われる手当」であるということ。

配置変更範囲においても、日本郵便には正社員に転居を伴う転勤が無いこと。

こういったことの相違に対し、説明ができず「不合理」という判決になりました。

 

上記5つの判決から見ても、手当や休暇は、賞与や退職金と比較しても目的が明確なため、「合理」「不合理」の判断がつきやすいという傾向にあります。

反対に賞与や退職金は企業ごとに大きく仕組みが異なるのが実情です。さらに賞与や退職金は基本給がベースとなりロジックが組まれていることが多く、その基本給が人事評価で変動するとなると、裁判所としても、よほど不合理という場合でない限りは踏み込みづらいということになります。

 

その点も踏まえ、企業側としては各職務や雇用形態に対する要件を明確化すること、さらに仕組みと実態の相違に対して説明が出来る状態にしておくことがポイントと考えられます。

 

今後とも宜しくお願いいたします。

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