カジュアル面談とは?面接との違い・やり方・注意点をわかりやすく解説
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2025.08.28

公開日:2023年8月1日
更新日:2025年8月27日
「せっかく内定を出したのに辞退された」
「入社後すぐに退職され、採用が定着しない」
そんな採用課題に悩む中小企業が、いま取り入れ始めているのが「カジュアル面談」です。
これまでの「面接ありきの採用」では届かなかった求職者層と出会い、ミスマッチを防ぐ手段として、多くの企業が活用し始めています。
本記事では、「カジュアル面談とは何か」から「やり方・進め方」、「注意点・成功事例」まで、採用活動に活かせる具体的なノウハウを中小企業向けに丁寧に解説します。

1. カジュアル面談とは?通常の面接との違い
カジュアル面談とは、選考プロセスの前段階で行う、企業と求職者による双方向の情報交換の場です。
選考ではないため、合否を出すことはなく、企業・求職者双方が「お互いを知ること」が目的です。
面接との違い
比較項目 | 通常の面接 | カジュアル面談 |
目的 | 合否の判断 | 相互理解と情報共有 |
雰囲気 | フォーマル・緊張感がある | 雑談のようなリラックス感 |
主な構成 | 質問 → 回答の一問一答 | 双方向の対話・対等な関係 |
実施タイミング | 選考プロセス中 | 選考前(事前接触) |
2. カジュアル面談の目的|企業・求職者双方にとっての意味
カジュアル面談を取り入れる目的は、単に応募者を増やすことではありません。
企業と求職者がお互いをよく理解し、選考辞退や早期離職といった「採用の失敗」を減らすことにあります。
■求職者側の目的
■企業側の目的
カジュアル面談は、採用活動における「事前接触ツール」というだけではなく、 自社の文化・価値観を伝えるブランディングの起点としても活用できます。
選考では語りきれない「会社のリアルな姿」を伝えることができるため、企業にとっても「どんな人に来てほしいか」を明確にする機会になります。
3. カジュアル面談のメリット|中小企業が活用すべき理由
1. カルチャーマッチした人材と出会える
「いい人材を採用できたと思ったら、数か月で退職…」
そんな経験はありませんか?
カジュアル面談では、応募前の段階で求職者とコミュニケーションが取れるため、価値観や志向のズレを早い段階で確認できます。
2. 転職潜在層にアプローチできる
今の採用市場は「売り手市場」。
転職意欲の高い“顕在層”だけを狙っていても、採用競争は激化する一方です。
カジュアル面談は「まだ転職するか迷っている」「興味はあるが選考はハードルが高い」と感じる転職潜在層にもアプローチできる施策です。
3. 求職者の本音が聞き出しやすい
面接では、あらかじめ準備された回答しか聞けないこともありますが、
カジュアル面談のようなリラックスした場では、本音や実際の志向が見えやすくなり、「想定外の相性の良い人材」との出会いが生まれることがあります。
4. カジュアル面談のやり方|実施の流れとポイント
ここからは、初めてカジュアル面談を導入する中小企業向けに、基本のやり方と進め方を紹介します。
事前準備
カジュアル面談を成功させるには、まずしっかりと準備をしておくことが大切です。
準備段階では、以下の3点を意識しましょう。
■面談の目的を整理する
■事前案内を作成する
当日の進行例(30〜45分)
実際の面談は、下記の流れを意識するとスムーズです。
フェーズ | 内容 | 所要時間 |
アイスブレイク | 軽い雑談で緊張をほぐす | 約5分 |
企業紹介 | ミッション・事業内容・社風を紹介 | 約10分 |
相互ヒアリング | 求職者の関心・キャリア志向を聞く | 約10分 |
質疑応答 | 求職者からの質問に答える | 約10分 |
クロージング | 今後の流れや選考希望を確認 | 約5分 |
実施後のフォロー
面談後の対応も重要です。
こうした一手間が、候補者からの信頼につながります。
オンライン形式の活用
最近では、在職中や地方在住の候補者に配慮して、ZoomやGoogle Meetなどを使ったオンライン面談を導入する企業も増えています。
オンラインでも、オフィスの写真や1〜2分程度のショート動画を用意すれば、対面に近い臨場感を伝えることが可能です。
5. カジュアル面談の注意点とNG例
あくまで企業理解を深めてもらうことが目的です。
ただの雑談で終わるのではなく、社風・働き方・ビジョンなど、伝えるべきポイントは明確に伝えましょう。
言いづらいことでも、 あいまいな回答は逆効果です。聞かれたことに答えられない場合も、誠実な姿勢で丁寧に対応することが信頼感につながります。
「面接っぽい」「評価されている感じがする」と思われた時点で、カジュアル面談の良さは失われます。
対等な立場での会話を意識しましょう。
求職者からは「企業の代表」と見られます。共感力・説明力・現場理解を備えた人材を配置。
コンプライアンスの留意点(一般論)
※上記は一般的な留意点です。詳細は自社の顧問等とご確認ください。
6. すぐ使えるテンプレート&チェックリスト(メール文例/質問集/アジェンダ)
カジュアル面談を初めて導入する際に役立つ、実際に使える文例やチェックリストをまとめました。
「何を送ればいい?」「どう進めればいい?」という疑問に答える形で整理しています。
6-1. 事前案内メール(対面・オンライン共通)
候補者には「面談は選考ではない」という点を必ず伝え、安心して参加してもらいましょう。
—————————————————————————————
件名:カジュアル面談のご案内(株式会社〇〇/職種:△△)
〇〇様
株式会社〇〇 採用担当の□□です。
この度は当社にご関心をお寄せいただき、ありがとうございます。
今回は「選考ではない情報交換の場(カジュアル面談)」として、
以下の内容でお時間を頂戴できればと存じます。
・目的:相互理解(会社紹介/ご経験やご希望のヒアリング)
・形式:オンライン(Zoom)/所要30~45分
・当日の流れ:会社紹介 → ヒアリング → 質疑応答 → 次のご案内
・服装:自由(カジュアルで問題ございません)
候補日時:①9//()時~
②9//()時~
③9//()時~
上記が難しければ代替候補をご提示ください。
どうぞよろしくお願いいたします。
――――――――
株式会社〇〇 採用□□
email | tel | URL
—————————————————————————————
6-2. 当日アジェンダ(進行台本)
面談当日の流れをあらかじめ決めておくと、担当者による質のばらつきがなくなります。
■60秒で伝える会社紹介(ショート版)
■3分で伝える会社紹介(ロング版)
ショート版に加えて:
6-3. 質問集(OK/NG例)
候補者の志向や価値観を知るための質問例です。
不適切な質問は信頼を失う原因になるので避けましょう。
目的 | OK質問(推奨) | NG質問(避ける) |
---|---|---|
志向把握 | 今後3年で挑戦したいこと、その理由は? | 家族計画は?結婚予定は? |
働き方 | どんな環境だと仕事がはかどりますか? | 国籍・出身地・宗教に関する質問 |
動機 | 仕事でやりがいを感じる瞬間は? | 健康状態や病歴を詳しく聞く |
条件 | 仕事選びで重視する条件TOP3は? | 前職の給与明細を見せてほしい |
■深掘りに使えるフレーズ例
6-4. 面談後フォローメール(例文)
フォローのスピードは候補者の印象を大きく左右します。面談翌日までに送るのが理想です。
■選考希望ありの場合
—————————————————————————–
件名(例):今後の選考について
〇〇様
株式会社〇〇 採用担当の□□です。
本日はカジュアル面談にご参加いただき、ありがとうございました。
当社としても、ぜひ選考を通じてさらに詳しくお話を伺えればと考えております。
▼次のステップ
一次面接(60分/オンライン)
候補日時:〇月〇日(〇)〇時〜 / 〇月〇日(〇)〇時〜
※ご都合のよい日時をお知らせください。
また、事前に職務経歴書の最新版をご共有いただけますと幸いです。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
株式会社〇〇
採用担当 □□
—————————————————————————————
■選考希望なし(タレントプールなし)の場合
—————————————————————————————
件名(例):本日のカジュアル面談について
〇〇様
株式会社〇〇 採用担当の□□です。
本日はカジュアル面談にご参加いただき、ありがとうございました。
今回は選考に進まれないとのこと、承知いたしました。
改めまして、お時間をいただきありがとうございました。
〇〇様の今後のご活躍を心よりお祈りしております。
株式会社〇〇
採用担当 □□
—————————————————————————————
■選考希望なし(タレントプールあり)の場合
—————————————————————————————
〇〇様
株式会社〇〇 採用担当の□□です。
本日はカジュアル面談にご参加いただき、ありがとうございました。
今回は選考に進まれないとのこと、承知いたしました。
またご希望にあうポジションが空いた際には、
こちらからご連絡させていただいてもよろしいでしょうか。
その際はぜひ改めてお話しできれば幸いです。
改めまして、本日はお時間をいただきありがとうございました。
〇〇様の今後のご活躍を心よりお祈りしております。
株式会社〇〇
採用担当 □□
—————————————————————————————
6-5. チェックリスト(面談直前)
最後に、面談を始める前にこれだけは確認しておきましょう。
7. 他社と差別化するカジュアル面談の工夫|印象に残る面談とは
カジュアル面談は、どの企業も同じように「リラックスした場」を目指します。
だからこそ、ちょっとした工夫で他社と差をつけることが大切です。
求職者に「この会社の面談は印象に残った」と思ってもらえれば、志望度アップにつながります。
1. 社員の「顔」を見せる
求人票や企業サイトだけでは伝わらないのが「一緒に働く人の雰囲気」です。
例えば次のような工夫があります。
「この人たちと働くんだ」とイメージできるだけで、候補者の安心感は大きく変わります。
2. オフィスや現場の雰囲気を共有する
働く環境をリアルに見せることで、求職者の不安を解消できます。
「実際に入社したらこんな場所で働ける」というイメージは志望度を高めます。
3. 質問しやすい雰囲気をつくる
候補者は「何を聞いていいかわからない」と緊張しがちです。
そこで、面談の冒頭に「どんなことでも聞いてくださいね」と伝えたり、質問例を提示したりすると安心して質問できます。
特に初回面談では、柔らかい雰囲気の担当者や若手社員を配置すると効果的です。
4. 伝える内容を整理しておく
面談担当者によって伝える内容がバラバラだと、候補者に不信感を与えます。
そのために、あらかじめ 「会社紹介の資料」や「質問リスト」 を用意しておくのがおすすめです。
これだけで「どの担当者でも同じクオリティの面談」が実現できます。
カジュアル面談は「気軽な場」であると同時に、候補者にとっては企業を判断する大切な場です。
社員の雰囲気や働く場所をリアルに伝え、質問しやすい環境を整えるだけで、他社との差別化につながります。
8. まとめ|採用の入口にカジュアル面談という選択を
中小企業にとって、採用は「応募数を集めること」以上に、自社に合う人材と出会い、定着してもらうことが重要です。
カジュアル面談は、面接の前にお互いを理解し合える場をつくることで、
といった効果を期待できます。
特に売り手市場が続く現在は、企業が求職者を選ぶ時代から、**「求職者に選ばれる時代」**へと変わっています。
その中で、選考一辺倒ではなく、相互理解を重視したカジュアル面談は、中小企業にこそ取り入れてほしい採用手法です。
まずはこの記事で紹介した「やり方」や「注意点」「テンプレート」を活用して、小さく始めてみてください。
きっと、求職者の志望度アップや、定着につながる採用の第一歩になるはずです。
カジュアル面談の導入をお考えの方へ
弊社では、中小企業様向けに「カジュアル面談の設計支援」「面談スクリプト作成」「採用ブランディング強化」などをサポートしております。
「やってみたいけど、どう進めればいいかわからない…」という方も、お気軽にご相談ください。

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