【中小企業×採用】地方採用を成功させる為に必要な考え方(2)
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2023.09.29
前回に引き続き、地方採用で成功する為に必要な具体的な手法について解説していきたいと思います。
魅力的な人材はどこにいる?
採用活動を開始する時期を設定する際に「どの時期に採用活動を始めるのがベストだろう?」と悩まれる企業さんも少なくなく、弊社もそういったご質問をお受けいたします。
その答えとしては「今から」です。
ただそれは、「明日から求人広告を出せば良い」という意味ではありません。
「採用活動の開始時期」=「求人広告の掲載時期」に設定するのではなく、様々な採用戦略を練り、施策を今すぐにでも実行していく必要があるという意味で「今から」とお伝えしています。
ではなぜ、今すぐにでも採用戦略を固め、戦略的に動いていく必要があるのか。
どの企業も採りたい人材は優秀な人材です。
まず、「優秀な人材」とはどんな人なのでしょうか。
一概にに定義することはできませんが、採用市場において「多くのキャリア選択肢」を持っている人ほど優秀とみなされやすい傾向にあります。 当然そのような人材は引く手数多ですので、就職活動を動き始めた途端に内定が出ても不思議ではありません。
ですので、理想的な優秀な人材を採用する為には採用市場に出てくる前から接触する必要があります。
「〇月からよーいドン!」で走りだすのではなく、常に先手先手で動くことが重要になってきます。
短期的・突発的に採用活動をしかけるのは、採用活動開始~入社までの時間は短くなりますが、それでは確率論の採用に近づいてしまいます。
地方企業の採用戦略には中長期的なスパンで考えていくことが必要と言えます。
短期決戦ではなく、中長期的に考える
「採用戦略には中長期的なスパンで考えていくことが必要」とお伝えしましたが、その考え方を「リクルートメント・マーケティング」と言います。人材採用プロセスをマーケティングの原則・戦略に置き換え、認知から活躍までを含めて中長期的な視点で捉える考え方の事です。
多くの企業の採用の目的は「良い人材を採用すること」ではありますが、もっと本質的には「入社してから長く活躍してもらうこと」が目的ではないでしょうか。
このリクルートメント・マーケティングは、しっかりと定着し活躍してくれる人材を獲得する事を実現する為に必要になる考え方になります。
リクルートメント・マーケティングについて
リクルートメントマーケティングについて、下記図を用いて説明していきます。
まず、求職者の動線として、認知から活躍までの各フェーズに分けられますが、応募と本選考の下の色が変わっている「リクルーティング」の部分。ここが従来の採用でもっとも重要視されてきた項目でした。
背景としては、赤字のフロー型コンテンツである求人媒体や人材紹介という手法が主な手法として使用されていたからだと見られます。
上記2つの手法は主に顕在層をターゲットとしており、非常に短期的に選考を進めることができました。人余りの時代であれば、求職者の企業に対する忠誠心も高く「企業=選ぶ側」という構図が成立していました。
しかしながら昨今の人手不足の現代においては、「求職者=選ぶ側」という構図の為、どうやって認知を獲得するのか、どうやって興味を引くのかなど、より具体的な施策に落とし込んでいかなければなりません。
その為の施策選定として、図に記載の「フロー型施策」・「ストック型施策」・「二刀流施策」など工数やコストを鑑みて、常に逆算して採用戦略を練る必要があります。逆に、採用を戦略化していかなければ今の採用競争を勝ち抜いて行くことは非常に難しいとも言えるでしょう。
また、こうした採用戦略は、行き当たりばったりの採用になりずらい為、従業員の成長や成功に向けてのアクションも明確化しやすくなり、早期退職のリスクを軽減することにも繋がります。
求職者にも「顕在層」と「潜在層」がある
「自社に合う人からの応募がなかなか来ない・・・」
そんな悩みを持つ企業様も多いのではないでしょうか。
まず求職者には
・まさに今転職活動を行っている「顕在層」
と、
・転職活動を行っていない、またはなんとなく企業の情報だけ見ている「潜在層」
が存在します。
この2種類の求職者を理解することが冒頭のお悩みを解決する糸口になりますので、詳しく説明していきたいと思います。
まずは上記図の左側にある「顕在層」、これはいわゆる短期的な採用計画でターゲットとなるアクティブユーザーです。
仕事選びの価値観としては、就職/転職したい!気持ちが最重要事項で、求人サイトで目についたものや、居住地、キーワードで検索し、知っている企業や条件のよい企業を選ぶ傾向にあります。「比較」で企業を選ぶため、「スペック比較・条件比較」のスペック競争になることが多く、入社した後も「スペック・条件」を求めて退職する可能性が高くなります。
要するに、「スペック・条件を求めて会社に入社する(したい)」という潜在意識がある為、「今の環境を抜け出す事」が転職の軸になっているのです。
顕在層をターゲットにして採用活動を行うのに有効なのが採用媒体です。顕在層からの認知を得る為のプラットフォームに情報を掲載するかたちです。
対して「潜在層」というのは、危機感や緊急度も高くはなく、今すぐに就職/転職したいという気持ちよりも、自分の軸に忠実に動き、スキル、成長、ワクワク、挑戦、社内文化、人間関係など、多様化する価値観に基づき求職活動を行っています。その為、表面的な情報に左右されることは少なく、「ナンバーワンでオンリーワンのマッチング」が圧倒的に生まれやすい事の最大のメリットです。
潜在層を狙う上で理解すべきことは、転職意思が顕在化していない為、早い段階で接触できれば、他社との競争を経ずに獲得できる可能性があがるという点です。
「カタログスペック」ではなく「自社のユニークなポイント」をアピールできるのです。
SNSや口コミサイトをはじめ、情報量が爆発的に増えた昨今、求人広告にある情報だけで意思決定することはほとんどないと言えます。働き方、キャリアパス・人事評価制度・社会へのインパクト、社会貢献性、カルチャー、楽しそうかどうかなど、「条件面よりもはるかに強い訴求」を求めており、「求めている情報を開示している企業か否か」という分けられ方になるという事も理解する必要があります。
自社の魅力の打ち出し方
具体的に自社の魅力をどのように抽出し、打ち出していけば良いのかをご説明いたします。
自社分析を行う
採用のターゲットとなる候補者からの企業認知を高めるには、ズバリその人にとっての「憧れのポイント」を発信することです。魅力や価値を伝える事は既にやられていることかと思いますが、ただただ思い浮かんだ自社の良いところを発信すればいいというわけでは決してありません。
実はどの企業も見落としがちなミスとして、自分たちが打ち出している魅力が適切に機能していないということがあります。
そこで活用していきたいのが3C分析です。3C分析とは、企業が自社の分析をするためのフレームワークの一つで、自社の顧客、競合他社、自社の強みや弱みを分析することで、自社の現状を把握し、今後の方針を立てるための手法のことですが、これは採用活動を行う際にも活用できます。
まず図の中心、3つの丸が重なっている濃い青の部分。これは
自社にある
競合他社にもある
そして、候補者が求めていることです。
つまり自社と競合が横並びになる部分です。
次に円の青い部分です。ここは
自社にある
競合にもある
しかし求職者は求めていないことです。つまりここを打ち出すことというのは、あまり意味のないアピールや業界全体のはき違えた価値観と言えます。
もっとも重要なのがオレンジ色の箇所です。
求職者は求めていて
自社にある
けれど競合にはないというポイント。
ここがまさに自社が打ち出すべきポイントになります。
このように、「自社・競合他社・求職者」の情報を整理して自社が戦うべきポジションを明確化していくことができれば、どのような魅力を発信していけば良いのかが定まります。ですのでまず始めは、この3C分析を用いて自社分析・自社理解を深めることをお勧めします。
自社分析の善し悪しは、各々の企業様が定義する「良い人材」が来る企業と来ない企業の分かれ目だと思って取り組んでいただければと思います。
発信する情報に一貫性を持たせる
自社を理解し情報を発信していく上でもう一つ重要なことがあります。それは、必ず情報には一貫性を持たせる必要があるということです。
自社の「らしさ」を定義するのは「情報の透明性」と「情報の一貫性」です。また、「一貫性」というのは、単純に同じ情報を出し続けるだけでなく、社内・社外にその上で必要な考え方は下記のとおりです。
・「どう見せたらいいか」ではなく「自社の価値はどこにあるのか」を意識する
・自社の魅力を言語化したうえで、求職者だけでなく社内にも浸透させること
・表面的な見せかけではなく、浸透させるという覚悟がなければ一貫性は生まれない
例えば、特別休暇など、実際にはないものをあるように誇張したり、「社内課題はない!」と印象付けるコミュニケーションで囲い込んだり、嘘の混じったコミュニケーションで取り繕っているというお話も耳にします。これは、実際に入社して働き始めてからギャップを感じ、早期退職に直結するケースです。
このエピソードを聞いた時、ほとんどの方は「そこまでのことはない!」と思われたかもしれません。
ですがそれこそがよくある間違い、勘違いなのです!
企業としては正直に伝えているつもりでも、社内で定義付けできていない言葉を外に向けて使う事で、面接時と実際に働いてみた時との感覚に大きな乖離を与えてしまっているのです。
定義が部署や社員によってバラバラで一貫性がなく、「誇張のコミュニケーションになってしまっている」というのが、実は頻発しています。
まとめ
自社が求める良い人材からの応募が集まり、尚且つその人が長く定着する企業になるためには、良いポイント、悪いポイントまで明確に定義し、飾ることなく現状を正直に話す事が大切です。包み隠さず事実を話すことで、求職者としても、愛着・定着が生まれるコミュニケーションに繋がります。
また、「伝えるべき価値」があるはずなのに、見つけ出せない場合は外部のプロに手伝ってもらう事も有益なアクションです。
今後協力し合う大切なメンバーですので、誠実に正直に向き合うという所まで考えた採用戦略を立案し、地方企業の採用活動に活かしていただければと思います。